胸をめぐる人生、人の数だけ胸があり人の数だけ好みがある。

 10代の頃は自分の体型にコンプレックスこそあれ、バストには自信を持っていた。
男性からは好奇の目で見られ、女友達からは嫌味を言われるものの
バストが大きいだけでセックスアピールになり異性の印象に残り易かったから。

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20代になり、女友達からの嫌味はなくなった。
バストサイズには様々な好みがあり、どんな乳にも需要があることを知ったのだ。
一方私は少し困っていた。異性と目が合うことはまれで、たまに顔を見てお話できる男性に会えたかと思っても、少し視線を反らすとここぞとばかりに胸を凝視する。
セクハラに遭ったような不快感があっても相手はただ見ているだけなので、私の中のわだかまりは澱のように溜まっていった。

30代になると立派な男嫌いになり私のことを性的な目で見ない男性に強く惹かれた。
下は60代から上は80代まで。奥様お子様どころかお孫さんまでいたりして
決して実ることのない恋心に胸が弾んだ。
彼岸に渡った彼らが当時の私の想いを知ったらあの世でひっくり返るだろう。
女友達は皆それぞれに異性を選び選ばれ人生を謳歌していた。

さて、私達は40代となった。

10代の頃、まな板体型を嘆いていた友人は大学以降それはもうモテた。
彼女は女性らしさではなく頭脳で社会に漕ぎ出すべく中学の時から猛勉強を続け、いわゆる「いい大学」へと進学した。
そこは男性の比率が大変高く、彼女のスリムなスタイルも相まって彼女は選ばれる側から選ぶ側へと華麗な転身をとげた。
彼女は男社会の職業に進み今や中堅としてしっかり社会に貢献している。
年の差はあるもののハイスペック男子を伴侶とし、週末ごとに共通の趣味を楽しんでいる。

10代の頃からスタイル美人だった友人はジムに通い胸の位置もキープしている。
相変わらずモテ続け異性が途切れたことはない。
彼女自身、あまりにも多くの異性に囲まれ選べないようで、
たまに会うと気になる人からアプローチされているが、今の彼氏と後腐れなく別れるにはどうしたらいいかと相談を受ける。
押しに弱いことで彼女の別れはいつも長くあとを引く。ストーカー化した元彼氏も一人や二人ではない。

万有引力というものがある。地上のあらゆるものは地球の持つ重力から逃れられない。
はやぶさ2のカプセルも地球の重力に捉えられ帰還した。
私の胸も自重に負けて長く下に伸びてきた。
自らの乳に長乳と名付け、この胸にも需要はあるのだろうかと今さみしく見下ろしている。